第15回仙台シンポジウム オーガナイザー
桑原 重文 (東北大学大学院農学研究科)

 長年に渡り万有製薬の主催で開催されてまいりました本シンポウムは、昨年、仙台シンポジウム組織委員会と万有生命科学振興国際交流財団(万有財団)の共催となり、15周年の区切りである今年からは、組織委員会が主催し、万有財団が後援する形で開催されることになりました。これを機に、研究者のより積極的なシンポジウムへの関わりと交流の促進を目的として、招待講演者による講演に加えて、大学および万有製薬の研究者によるポスター発表を実施することとなりました。交流会(懇親会)の場における情報交換や討論が益々盛んとなることを願っております。「有機化学の挑戦−有機合成化学の使命と未来」というテーマで開催される今年度のシンポジウムは、15周年記念に相応しく、将に世界の有機化学界を先導する先生方に御参集いただきました。伊藤先生には、生命現象発現の主役たるタンパク質を修飾している糖鎖の精密有機合成とともに、それを武器として、分子生物学的手法だけでは解明困難な、正確で、真の意味で分子レベルでの生体分子相互作用の理解に挑戦する研究を御紹介いただきます。鈴木先生は、生合成起源を異にする構造単位が複合したハイブリッド型生理活性天然物の全合成研究を通して、洗練された合成戦略の妙と、その直截な戦略を実現するための基本反応の創成に関わる深い洞察により聴衆を魅了することでしょう。林先生には、有機合成化学の中心テーマである触媒的不斉合成の中でもとりわけ重要な炭素−炭素結合の形成を伴う不斉1,4-付加反応について、工業的応用も視野に入るレベルにまで高められた、独創的不斉リガンドを具備した遷移金属錯体触媒の開発を中心として御講演いただきます。今も御自身で手を動かして実験をなさっている森先生には、先生のライフワークであるフェロモン合成について、生態学の進歩に対する有機合成化学の貢献、とりわけフェロモン活性発現に対する立体化学の重要性の提唱と多様性の発見を中心として、生物学および応用研究に関わる有機合成化学の魅力をお聴かせいただけるものと思います。本記念シンポジウムの締めくくりとして、向山先生をお迎えして御講演いただけることは幸甚の至りであります。短い時間ですが、長年に渡る先生の有機化学探究の輝かしい成果と最新の御研究を拝聴し、是非とも先生の研究哲学を学び取りたいと願っております。
 美しい分子構造を自由自在に作り上げることができる有機合成化学者は、将に分子のアーキテクトであります。その基礎学問としての技・芸術性を益々研ぎ澄ますとともに、それを武器として、他の領域に影響を与えることも重要であると思います。「有機化学の挑戦」は果てしなく続くものと確信します。
 最後に、本シンポジウムの開催に当り、御助力いただきました組織委員会の先生方、鈴木國夫様をはじめとする万有財団の皆様、陣頭指揮をして下さった清田助教授をはじめとする東北大学農学部生物有機化学研究室の皆様に心から感謝申し上げます。

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